この車でなければ味わうことのできない感覚がある。アナログ車は操る楽しさが満載です。
旧車を維持していくためには、経年劣化という事実から目を背けず、確実な整備を施したうえで楽しむことが肝要です。またその際には、「旧車であることを深く理解した専門店」による施工を強くお勧めいたします。
年月を重ねた結果。最近は走行距離が伸びた個体が多くなってまいりました。そうなるとエンジン本体のオーバーホール実施をと考えますが、その際の参考となれば幸いな情報です。

既存エンジンは2019年3月、走行距離215,269km時にオーバーホールを実施しております。その後も順調に走行を重ね、現在の走行距離は348,723kmに達しておりました。
この車両は一般的なビートと比較して走行距離が多い個体ではありますが、当店にてエンジンオイル管理をはじめとする各部のメンテナンスを継続的に実施してきた車両でもあります。

その証として、前回オーバーホール時においてもオイル消費はほぼ皆無であり、エンジン自体に大きな不具合は見受けられませんでした。
しかしながら、どれほど適切なメンテナンスを行っていても、長年の使用による経年劣化そのものを完全に防ぐことはできません。当時は性能低下や重大トラブルが発生する前に、予防整備の意味合いも兼ねてエンジンオーバーホールを実施させていただいた経緯がございます。

そして今回、年明け早々の走行中にエンジンブローを発症し、当店へご入庫となりました。

オーナー様としては、エンジンブローに至った原因を明確にしたいこと、また長年連れ添ってきた既存エンジンを可能な限り再生して使用したいとのご希望をお持ちでした。しかし当店では、あえて既存エンジンをベースとした再構築は行わない判断をいたしました。

その理由は、年間十数基に及ぶエンジンリビルドの経験から得た実績によるものです。過去には30万kmを超えたエンジンをベースに再構築を行った際、完成後に予期せぬ金属疲労由来のトラブルを経験しております。
エンジン内部には、長年にわたり高回転で使用され続けたことによる金属疲労が確実に蓄積されています。具体的には、クランクシャフト、カムシャフト、シリンダーヘッド、シリンダーブロック、オイルポンプなど、回転部品およびそれを支持する各部において、摩耗や変形、微細な亀裂、振れの発生といった問題が潜在している場合があります。
これらは通常の測定や点検だけでは完全に把握できないことも多く、せっかく多額の費用と時間を掛けて再構築を行っても、後に金属疲労を起因とする不具合が発生する可能性を否定できません。

そのため当店では、一定以上の走行距離や損傷が確認されたエンジンについては再使用を断念し、状態の良い別のベースエンジンを用いて再構築を行う方針を採っております。
とはいえ昨今は、その「状態の良いベースエンジン」の確保自体が非常に困難になっております。ビートの生産終了から長い年月が経過し、流通している中古エンジンの多くも高走行距離化や経年劣化が進行しております。
そのため、当店が求める品質基準を満たしたベースエンジンの入手には以前にも増して時間を要する状況となっているのが現実です。
それでも、お客様に安心して長くビートライフを楽しんでいただくためには、目先の修理ではなく将来を見据えた再構築が重要であると考えております。今回もその方針に基づき、最善と思われるベースエンジンを選定したうえで再構築作業を進めてまいります。
ご覧いただき、ありがとうございます。
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